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私は、自由民主党・市民クラブ大阪市会議員団を代表し、「議案第17号 地方独立行政法人大阪市博物館機構定款の制定について」及び「議案第18号 大阪市地方独立行政法人大阪市博物館機構評価委員会条例案」について反対の立場から討論いたします。
今回の法人の対象は、市立美術館、市立自然史博物館、市立東洋陶磁美術館、市立科学館、大阪歴史博物館の5館が対象となっています。
まず、反対する理由の一つ目ですが、性格などの異なる5館を独立行政法人化し一体で運営ができるとは到底思えないからです。
この5館は専門分野も規模も全く異なり、利用者の層、事業内容、事業費用、さらには特別展等の企画展による収入等に大きな違いがあります。
そこで働く学芸員にも、研究志向の強い方、特別展や企画展の実施に意欲を燃やす方、市民協働に積極的な方など、意識や考え方に違いがあります。
性格、規模、特徴、そこで働く学芸員の考え等が大きく異なる施設を同列に扱い、一つの物差しで測ることなど到底できるはずもなく、なぜ5館を独立行政法人化し一体運営できるのか疑問を感じます。
次に、理由の二つ目ですが、「平成29年度大阪市一般会計予算」に対して、「博物館施設の独立行政法人化の今後の制度設計に当たり、設立団体となる本市の役割と責任を十分に踏まえ検討を進めること」を求めて、附した附帯決議の内容について十分な議論がなされていないことです。
その際の附帯決議の内容は次の通りです。
①法人化後、学芸員をはじめとする職員が、安定的に確保できること。
② 運営費交付金は、市民サービスの向上とともに、学校教育や生涯学習の支援など社会教育施設としての役割が確実に果たせるよう、適切に措置すること。
③館蔵品などの貴重な市民財産を引き続き確実に保全・継承すること
④ 法人化を進めるに当たり、現行の指定管理者と綿密に協議するとともに、対象施設で働く職員に対しても、十分な説明をすること。
⑤新美術館の2021年度中の確実な開館に向け、必要な措置を講じること。
以上の5項目であります。
特に、3項目に指摘した「館蔵品などの貴重な市民財産を引き続き確実に保全・継承すること」についてでありますが、館蔵品の中には、市税で購入した作品もあり、市民をはじめとする方々から、本市を信頼してご寄贈いただいた品々も多く含まれます。
その評価額は、新美術館の館蔵品も含めると、簿価で約630億円にも逹し、時価にすると驚くほどの金額になると言われています。
このような貴重な市民の財産を、独法化するからと言って、そのまま法人に譲渡しても良いのでしょうか。
館蔵品は本市の所有としたまま、法人に貸し出すなどの方法で対処できないのでしょうか。
もし、法人の財産とした場合、法人が資金繰りに困って、法人の判断で担保に供したり、売却されることも想定されるのではありませんか。
ましてや、いわゆる都構想の議論がされている最中(さなか)、特別区が設置されるとなった場合には、これらの館蔵品の帰属はどうなるのですか。
大阪府にその事務が継承され、設立団体が大阪府となります。業務が不要と判断し、法人を解散する場合には、府に帰属することになります。市の財産を財政難で苦しんでいる大阪府にみすみす差し上げることになるのではないですか。
最後に、今回の議案については、地方自治体において、初めての独立行政法人化の議案であります。もっと時間をかけて、慎重に進めることを強く要望するとともに、議員各位のご賛同をお願いし反対討論といたします。
ご静聴ありがとうございました。